父と娘の中学受験

子供と二人三脚で頑張る中学受験の記録です。

合格の秘訣①

随分と偉そうなタイトルなのだが、我が家が3年間本気で中学受験をし、教訓を得た事を挙げていく。

これから息子達も控えており、備忘録も兼ねて。

 

1.必要な勉強量を確保する

目標の偏差値に達するために必要な最低限の勉強量があるように思う。塾の先生の教え方だとか、いかに効率良く勉強できるかとか…確かにそれも大事であろうし、それらがあれば勉強時間はある程度減らせるだろうが、それでも最低の勉強時間のラインがあるように感じた。私の知る限り、あまり勉強していないけど成績が良い子、は中学受験をしている子の中にほとんどいなかった。

今の中学受験は新4年(3年生の2月)にカリキュラムをスタートさせるのが一般的で、四谷大塚の予習シリーズで勉強をする場合は、やはりそのタイミングで始めるのが良いと思う。(少なくとも算数と国語は絶対)5年から始めた知人の子曰く、4年のテキストでしか習わない内容があるらしく、2年間非効率なやり方で苦労をしていたことが後々分かったらしい。4年時点の偏差値から最終偏差値は大きく変動しないと言われてはいるものの、ゆるやかに成績は上がっていくのが普通で、4年からの3年間と5年からの2年間では1年間の勉強時間の差が生まれてしまう。理科や社会などの暗記科目はその時にどれだけしっかり暗記しても忘れてしまうので、何度も繰り返し同じ単元を学習するカリキュラムになっているためあまり問題にはならないが、国語や算数の差はなかなか埋まらないように思う。


2.塾のテキスト以外の教材で弱点対策をする

娘は塾の宿題はほぼ全て取り組み、週テスト前には間違えた問題を解き直し、組分けテスト前にもう一度範囲内の問題を解き直していた。つまり少なくとも3周は同じ問題を繰り返し学習した。その後も主要なテキストは受験直前まで学習した。よって、予習シリーズと問題集はほぼ完璧にこなしたと言って良い。しかし、理科や社会の記述問題は最後の最後まで苦手なまま、本番でも満足に解けなかった。理科の苦手な単元は予習シリーズを読み込んだり問題を何回解いても、やはり内容や解説が理解できず、6年秋以降に成績低迷。その後も挽回することなく、最後まで足を引っ張った。塾の教材をやり込むだけでも相当な時間がかかるのだが、弱点は別の教材で補完するべきだと思う。特に予習シリーズは算数の解説に比べて理科の解説は詳しくなく、なぜそのような式になるのか、解説を読むだけでは分からない箇所があるのだ。大型書店に行くと中学受験の対策本が山のようにあるので、その中から子供が興味を持てて取り組めそうなもの、解説が丁寧で分かりやすいものを探して解かせる、等の対策を講じるべきだった。本人にやる気があるなら一緒に選ぶのが最も良いと思うが、娘のように塾の子がやっていないテキストや問題を取り組むことをすごく嫌がるなら、塾の先生と親が組んで、追加の市販教材も塾の宿題として出してもらう等の工夫はできたように思う。


3.学んだ知識を実生活に活かす

娘は最高位のS1には一度も届かなかったが、同じクラスに5年生の組分けテストでほとんどS1を取得し、一度組分けテストで全国1位を取った男の子がいた。その子は入塾タイミングが娘と同じため、ずっと同じ先生に教わっていたことになるのだが、どうしてこんな差が生まれて縮まらないのだろうと考えていた。幼少期の情操教育やこれまでの育て方、本人の性格や科目の得手不得手など、様々な可能性を探ったのだが、おそらく一番大きいことが「学んだ知識を机上で終わらせず実生活に結びつけようとしているか」ということのように思う。娘は学んだ知識をテストには使うが、それを深めようとか、もっと知ろうとするような知的好奇心は少ない。S1を取れる子は、知り得た知識をテスト以外で使ってみようとか、もっと知りたいという意識が高い子だったように思う。


4.毎日継続して勉強する

成績の良い子、受験で結果を出した子の多くは、毎日必ず計算、漢字、語彙を学習していたようだ。6年からはそこに理科と社会の基礎知識が加わる。毎日5分でも、これを続けられる子は本当に強い。娘も毎日なんらかの勉強はしていたが、ここに挙げたものを毎日取り組むことはしなかった。計算や漢字は受験初期から「まとめてやらずに毎日少しずつ解くように。」と言われていたが、一度も守らず、毎回まとめて解いて一気に提出していた。(塾長から再三注意を受けたが、最後まで改善することはなかった)ちなみに、朝早起きしての学習も勧められていたが、全くやる気がなく早く起きることもなく、早々に断念した。


5.必ずテスト直しをする

娘から聞いて耳を疑ったのが、模試やテストの直しを指示しない塾があること。私からするとこれはありえない。何のためにテストをするのか。その範囲の理解度を確認することが目的で、分からなかった問題や間違えた問題を放置していては一向に分からないままだと思う。勉強は「分からないことを分かるようにすること」だと考えていたので、娘には週テストは終わってすぐに塾で、組分けテストや合不合判定テストは正答率の情報が出てから、必ず解き直しをさせた。ただし、その子のレベルに合わせた取捨選択は必須と思っていたので、Sクラスの週テストなら正答率30%未満、組分けテストや合不合なら10%未満は解き直しができなくとも良し(解説を読むだけでオッケー)としていた。さらに間違えた問題は次の週テスト前にもう一度取り組み、取りこぼしのないようにした。暗記系の科目は除き、答えだけ覚えていてしまっている場合があるので、どうしてそのような答えになるのか、間違えた問いの全てで説明させるのが良かったと思う。これは後々気付いたことだが、娘は苦手な理科の勉強を嫌がっていたので、おそらく答えだけを覚えて2度目以降回答していたのだろう。苦手を認識できたのがとても遅かったことは、これが原因の1つのように思う。


6.1週間で理解する

毎週新しいことを学ぶカリキュラムになっているので、分からないことがあっても全て理解してから、次の単元に進むことができない。落ちこぼれを作らないようにのんびり進めていては、中学受験のために学ぶべき内容の全てを消化できないので仕方のないのだろうが、1週間の中でいかにしっかりと理解し、応用や発展問題まで取り組めるか、スピード感を求められてしまうのが中学受験と思えた。ここは一番もどかしかったことなのだが、学力の差が如実に現れてしまうところだと思う。Aコースは例題と類題を理解すること、Bコースは基本問題まで理解すること、Cコースは練習問題まで理解すること、Sコースは発展や応用問題まで理解すること、が目標と聞いていたので、上のコースを目指すなら、1週間の内にその上のコースの子が学習することが出来、さらに理解しなければいけない。当たり前にS1を取れるような子は最難関問題集の応用Aまでは普通に解き、得意な単元は応用Bも取り組んで難問に慣れておくレベルだと感じる。娘は頑張っても応用Aまでが限界であったし、苦手単元では最難関問題集は相当な苦労を強いられた。家庭学習で取り組む問題の取捨選択はとても大事だ。志望校のレベルから、本人がどこまでを学習する必要があるのかは大人が判断するべきだ。


7.塾を休まない

6.に繋がるのだが、毎週新しいことを学び、1週間で単元を理解しなければいけないカリキュラムのため塾は休めない。休んでしまうとその単元をどこかで取り組まなければいけなくなるが、中学受験の標準的なスケジュールではほとんどその余裕がない。よって、普段休んでいる時間や遊んでいる時間に取り組むか、長期休暇の季節講習中に消化するしかない。娘は中学受験の全期間を通し、テストを休んだのは1回のみ、塾を休んだのは学校行事や家庭の都合で数回のみ、体調不良で休んだりサボったりしたことは一度もなかった。そのくらい塾が好きだったのだが、身体も強かった。私は中学受験は学力はさることながら、体力があり健康で病気をあまりしない子が向いていると思っている。

 

8.塾任せにしない

塾に全てをお願いしたい親は想像以上に多いらしい。夫婦共働きで受験の伴走ができないので親の負担が少ない塾を探している、という話はよく耳にする。しかし私の知る限り、完全に塾に任せて第一志望に合格できた子は一人もいない。やはり、中学受験は親子の受験だと思う。

塾のお弁当を親が作って持たせる、塾の送り迎えをする、模試会場まで見送る、学校見学を予約して連れて行く、こういうことが小学生1人ではできず親のサポートが必要だから親子の受験と呼ばれる、というわけではないと断言できる。

小規模で面倒見の良い塾は存在しているとは思うが、ずっと同じ先生が子供の特性をしっかり理解して見てくれることは多くないのではないか。少なくとも住んでいる地域では無い。また、家庭学習で差がつくので、親の勉強のサポートは必須だと思う。私が具体的にした勉強面のサポートは、日々の学習スケジューリング、丸付けと間違えた問題のチェック、各テストで間違えた問題と正答率を確認する、成績管理、テスト前の一問一答、過去問の準備と計画、過去問の成績管理…など多岐に渡るが、こういうことを親がする必要があるから親子の受験なのだと思っている。これらに関して、親が関与せず塾任せや本人任せにできる、と思ったことは私は一度もなかった。娘は成熟しているタイプであるが、やはりまだ小学生だ。目標の学校には行きたいけれど、どうすればそこに到達できるのか正確に判断できない11歳や12歳が、志望校合格だけをモチベーションに1人で勉強するのは難しいと思う。孤独も感じるだろう。多くの塾が、成績管理や過去問管理や苦手対策を一人一人に懇切丁寧にできると思えない。高いお金を払い、たくさんの時間を投入する中学受験を成功させたいなら、一番子供の事を分かっている親も子供と一緒に頑張るのが正解だと思う。